【症例紹介】長期治癒しなかった褥瘡が完治!在宅医療でのVAC療法の力
- 賢一 内田
- 1 日前
- 読了時間: 3分

今回は、昨年5月に筋層に達する重度の褥瘡を発症された方の症例をご紹介します。
この方は体動困難が続き、褥瘡は進行。私たちが関わるまでの約4カ月間、様々な治療が行われたものの、創部は一向に改善せず、当クリニックにご相談がありました。
当院では、治療方針として**陰圧閉鎖療法(VAC療法)**を導入。

結果、4カ月間全く改善が見られなかった褥瘡が、約3カ月で完治。患者様は無事に当クリニックを卒業されました。
在宅診療の現場で、ここまでの治癒を得られることは、本当に嬉しい限りです。
この治癒は、当院の治療だけでは成し得ませんでした。訪問看護ステーション「カムイの森」さんの手厚いサポートがあってこそ。今回も全面的なご協力をいただき、心より感謝申し上げます。
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VAC療法(陰圧閉鎖療法)とは?
VAC療法とは、創傷治癒を促進するために創部に陰圧(負圧)をかけて管理する治療法です。日本語では「陰圧閉鎖療法」と呼ばれています。
この治療法は、過去50年の創傷治療の中でも特に画期的な方法の一つであり、褥瘡や術後感染など、難治性創傷の治療に非常に有効です。
▷ VAC療法の歴史
1993年 Fleischmannらが「創傷に陰圧をかけることで治癒が促進される」と報告
1997年 ArgentaらがVAC装置を開発し、臨床応用へ
アメリカでは医療保険制度の後押しもあり急速に普及
日本での正式認可は2010年。それ以前は施設独自のセットで運用されていました
私自身は、脳神経外科・脊椎外科を専門としていた時代からVAC療法を経験しており、2010年に日本で本格導入された年に初めて使用しました。その治療効果の劇的さは、今でも鮮明に記憶しています。
VAC療法の主なメリット
創傷治癒を促進する効果が高い
洗浄やガーゼ交換を毎日行う必要がなく、処置回数は週1〜2回で済み、患者様の負担を軽減
機器がコンパクトで移動可能なため、生活への制限が少ない
在宅医療の現場でも非常に有用な治療法です。
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