【解説】レビー小体型認知症とパーキンソン症状の違いと注意点
- 賢一 内田
- 7 日前
- 読了時間: 3分

パーキンソン症状と聞くと、「手が震える」「体がこわばる」といったイメージがあるかもしれません。実際、パーキンソン症状には以下のような特徴があります。
固縮(こしゅく):筋肉に力が入り、思うように力が抜けない状態。まるで身体が固まったように感じます。
振戦(しんせん):手や足が勝手に震えてしまうような症状です。
レビー小体型認知症では、特に「歯車様固縮」と呼ばれるタイプの固縮が見られます。これは、肘などの関節を他動的に動かそうとしたとき、「カクカク」と歯車のように動くのが特徴です。
パーキンソン病の薬が効かない?
パーキンソン病とレビー小体型認知症では、似たような運動症状が出ますが、薬の効き方がまったく違うという点に注意が必要です。
パーキンソン病に対する治療薬(ドパミン補充薬など)は、パーキンソン病には非常に効果的です。しかし、レビー小体型認知症におけるパーキンソン症状にはあまり効果がありません。
しかも、レビー小体型認知症の患者さんは薬に対する過敏性を持つことが多く、薬を増量すると副作用が出やすくなります。たとえば以下のような症状が悪化することがあります。
幻覚・妄想の悪化
興奮や易怒(怒りっぽさ)の出現
転倒リスクの増加
そのため、レビー小体型認知症では慎重な薬剤管理が不可欠です。
レビー小体型認知症とパーキンソン病の違いとは?
両者はともに「レビー小体」という異常タンパクが脳内に蓄積することが原因とされています。違いは、そのレビー小体が「どの部位に現れるか」という点にあります。
パーキンソン病:中脳の「黒質」と呼ばれる部分にレビー小体が蓄積
レビー小体型認知症:大脳皮質など、より広範囲にレビー小体が分布
また、両者に共通して現れやすいのが自律神経障害です。たとえば、交感神経の働きが弱くなることで、血圧変動や立ちくらみなどの症状が出ることもあります。
診断に役立つ「MIBG心筋シンチ」
レビー小体型認知症の診断に有用とされている検査の一つが「MIBG心筋シンチグラフィ」です。これは、心臓に分布する交感神経末端の働きを調べる検査で、レビー小体型認知症やパーキンソン病ではこの交感神経末端が減少していることが確認されます。
レビー小体型認知症は、見た目の症状や治療法だけでなく、薬の使い方一つでも症状が悪化するリスクがあるという点で、特に注意が必要な疾患です。
在宅医療の現場でもよく出会うこの疾患について、正しい知識を持ち、適切に対応することが大切です。
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