パーキンソン病と薬剤性パーキンソニズム:見逃さないために大切なこと
- 賢一 内田
- 10 分前
- 読了時間: 3分
パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が徐々に減少していく、進行性の神経変性疾患です。主に高齢者にみられ、「動作が遅くなる」「手が震える」「転びやすくなる」などの症状が特徴です。
パーキンソン病の診断に使われる検査
パーキンソン病の診断には、下記のような特殊検査が参考にされることがあります。
🔹 MIBG心筋シンチグラフィー
心臓の交感神経の状態を調べる検査で、MIBGという薬剤が心臓に集まりにくくなる傾向がパーキンソン病にはみられます。
🔹 ドーパミントランスポーター(DAT)イメージング
脳内のドーパミン再利用に関わるタンパク質「DAT」の働きを画像化し、ドーパミン系の変化を調べます。
パーキンソン病の主な症状(4大徴候)
振戦(手足の震え)
筋固縮(筋肉が固くなる)
無動(動作がゆっくり、少なくなる)
姿勢反射障害(バランスがとりづらく、転びやすい)
具体的には以下のような訴えがみられます:
動作が遅くなった
声が小さくなった
表情が乏しくなった
小刻み歩行や歩行時に足が出にくい
手足のこわばり
歩行中に止まれず走り出すことがある(突進現象)
薬が原因?薬剤性パーキンソニズムにも注意
実は、こうしたパーキンソン病に似た症状が薬の副作用として現れることがあるのをご存じでしょうか?
これを「薬剤性パーキンソニズム」と呼びます。
よくある原因薬(ドパミン拮抗作用をもつ薬)
抗精神病薬(セレネース、リスパダール、ドグマチール、ノバミンなど)
制吐薬(プリンペラン、ナウゼリン)
カルシウム拮抗薬(ワソラン、ヘルベッサー)
抗ヒスタミン薬(アタラックスP)
認知症治療薬(アリセプト) ← 特に注意!
とくにアリセプトは、「認知症の症状」として片付けられてしまうリスクが高いため要注意です。
薬剤性パーキンソニズムの特徴とは?
特徴 | 薬剤性パーキンソニズム | パーキンソン病 |
進行 | 比較的急速 | 徐々に進行 |
症状の左右差 | 少ない(対称性) | 明確な左右差あり |
震えの種類 | 動作時・姿勢時に出やすい | 安静時振戦 |
突進現象 | あまり見られない | よく見られる |
アカシジア・ジスキネジア | 合併しやすい | 稀に見られる |
薬の反応性 | 抗パーキンソン薬が効きにくい | 効果が見られることが多い |
対応のポイント:まずは「薬の見直し」
薬剤性パーキンソニズムが疑われる場合は、原因と考えられる薬剤を中止することが第一選択です。漫然と処方を続けたり、パーキンソン病薬で抑えようとすると、かえって副作用を増やすリスクがあります。
特に高齢者や多剤併用中の方では、慎重な見極めが必要です。診察時には、肘や手首に筋固縮がないかの確認も重要なポイントになります。
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