自身、勤務医時代に介護保険と医療保険の明確な違いを理解できていませんでした。以前の施設で勤務していた時にデータ整理の際に10年間で約1万人の脳卒中診療に携わり、7千人の脳梗塞患者を診ていたことを知りました。その中でかなりの患者さんが介護申請を行い、施設ないし自宅へとしていたのですが、そうした患者さんがどの様な保険制度にて被保険者となっていたのか、無知でありました。ただ、ケアマネージャーの試験勉強する中で、こうした仕組みも理解が必要と痛感しました。在宅医療は多職種との連携にて成立するであり、臨床のみやっていればOKという態度では他職種から相手にされないでしょう。在宅医療においては医師はプレイング マネージャーの立場です。例えるなら、野球チームの監督で監督兼選手です。プレーヤーとして結果をだすことは当然であり、それと同じ様にチームの大きな方向性を舵とらなければなりません。前置き長くなりましたが要介護患者さんの訪問看護においては原則として、医療保険ではなく介護保険が優先され、訪問看護も介護保険で行われることになります。
しかし、例外的に医療保険で訪問看護が行われることがあります。
これは、たんぽぽクリニックの永井先生の著書に詳しく書いてあります。
著書の中で、訪問看護が医療保険の適応になる条件を、「3つの呪文」として書いています。
3つの呪文
①介護保険の認定を受けていない訪問看護の対象者
②要介護認定者のうち、末期の悪性腫瘍など「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合
③要介護認定者のうち、急性増悪などのケース
ひとつひとつ見ていきたいと思います。
①に関してですが、要介護認定を受けていなければ、当然のことながら介護保険を使うことはできません。これは、年齢的に介護保険を受けられない方と、該当はしているが申請していない方の二つのケースに分かれます。
40歳未満:どの方でも介護保険は使えません。40歳以上65歳未満:特定疾患(16疾患)によっては介護保険を使えます。65歳以上:どの方でも要介護認定を受ければ、介護保険は使えます。
②に関して「厚生労働大臣が定める疾病等」は、以下の疾病です。末期の悪性腫瘍多発性硬化症重症筋無力症スモン筋萎縮性側索硬化症脊髄小脳変性症ハンチントン病進行性筋ジストロフィー症パーキンソン病関連疾患…進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類Ⅲ度以上かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度)多系統萎縮症…線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群プリオン病亜急性硬化性全脳炎ライソゾーム病副腎皮質ジストロフィー脊髄性筋萎縮症球脊髄性筋萎縮症慢性炎症性脱髄性多発神経炎後天性免疫不全症候群頸髄損傷人工呼吸器を使用している状態
③に関しては、医師が特別訪問看護指示を出した場合に当たります。病状の急性増悪時(肺炎になった場合など)、終末期、退院直後に月1回出すことができます。指示日を含めて14日間までの制限があります。気管カニューレ使用と真皮を越える褥瘡(NPUAP分類Ⅲ、Ⅳ度)がある場合は、月2回指示を出せます。この場合は、1か月のうちほとんどが医療保険の訪問看護となります。また、特別訪問看護指示期間中は、原則として週4日以上の訪問看護が必要です。
まとめると、要介護認定を受けていない、末期がんや難病がある、急性増悪時や重度褥瘡で特別訪問看護指示がでている場合は、医療保険による訪問看護になります。
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