入院をきっかけに認知症? それは「環境の変化」が引き金かもしれません
- 賢一 内田
- 2 日前
- 読了時間: 3分

普段の生活では問題なく過ごしていた高齢の方が、入院をきっかけに突然「認知症のような症状」を見せる――
在宅医療の現場でも、こうしたケースは決して珍しくありません。
「認知症」という名前の裏にある、さまざまな“病態”
「認知症」とはあくまで総称であり、その中にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症など、多くのタイプがあります。そして、それぞれに特徴的な症状や進行パターンがあります。
また、認知症の症状は大きく2つに分けられます。
中核症状:記憶障害、見当識障害(時間や場所がわからなくなる)、実行機能障害など、脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能の低下
周辺症状(BPSD):徘徊、不眠、幻覚、怒りっぽさなど。これらは環境要因・身体的要因・心理的要因の影響によって現れる“二次的な症状”です
特にBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)は、入院など環境の変化が大きく影響すると考えられています。
MCI(軽度認知障害)とは?
近年では、「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」という病態も注目されています。これは“認知症の前段階”ともいわれ、
本人や家族が「最近ちょっと物忘れが気になる」と感じていても、
日常生活には大きな支障がない状態
を指します。
私の外来にも、「最近物忘れがひどくて、認知症じゃないですか?」とご相談に来られる方が多くいらっしゃいますが、こうしたケースの多くがMCIの可能性があります。
入院が引き金になる理由
では、なぜ入院を機に症状が悪化するのでしょうか?
それはまさに「環境」「身体の変化」「不安やストレス」といったBPSDの誘因が、入院中に一気に重なるからです。
見知らぬ場所
見知らぬ人々
思うように動けない身体
自由がきかない生活リズム
これらすべてがBPSDの“燃料”となってしまいます。
「退院したら、元に戻る」こともある
私自身の経験でも、入院中に認知症様の症状が出た患者さんが、自宅に戻った途端にほぼ元通りになるというケースを何度も見てきました。
退院時には必ずこうお伝えします。
「もし大変だったら、すぐ戻ってきてくださいね」
そう言うだけで、ご家族も安心して退院を受け入れられます。そして実際に“戻ってきた”患者さんは、これまで一人もいませんでした。
なぜなら、入院前は普通に生活できていた方々だからです。
「薬や抑制」よりも、「帰れる環境を整える」
入院中にBPSDが出た時、薬で抑えたり、身体的な拘束で転倒を防ぐという対処が取られることがあります。
もちろん、状況によっては必要なケースもありますが、できるだけ早くご自宅に戻してあげることが、何よりの治療になる場合もあるのです。
🏠 在宅医療で、もっと自然に、安心を。
もし「高齢の親の認知症が心配」「入院中に急に混乱してしまって…」といったご不安があれば、ぜひ一度ご相談ください。
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