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喘息とCOPDが重なる「ACO」とは?〜咳や息切れが続く方へ〜

■ ACOってなに?

ACO(Asthma-COPD Overlap)とは、喘息(ぜんそく)とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の両方の特徴を併せ持つ病気です。

例えば、こんな方が当てはまるかもしれません:

  • 子どもの頃に喘息があった

  • 大人になってからも咳や息切れが続いている

  • 長年の喫煙歴がある

こうしたケースでは、ただの喘息やCOPDではなく、「ACO」の可能性があります。

🖼️【ここにイラスト:喘息とCOPDが重なった図(Venn diagram風)を挿入】

■ ACOの診断基準は?

◆ 基本条件:

  • 40歳以上

  • 吸入後の1秒率が70%以下(スパイロメトリー検査)

これに加え、COPD的な要素喘息的な要素の両方を持つことが重要です。

■ COPDの特徴(下記のうち1つ以上)

  1. 喫煙歴: 一日あたりの喫煙本数 × 年数が200以上(例:20本/日 × 10年)

  2. 胸部CTで気腫性変化

  3. 肺拡散能の低下(これは専門的な検査が必要で、医師でも難しいことがあります)

■ 喘息の特徴

以下の2パターンで診断されます。

◎ 大項目3つのうち2つ以上

または

◎ 大項目1つ+小項目2つ以上

【大項目】

  1. 変動性のある呼吸症状(咳、痰、息切れ)

  2. 40歳以前に喘息と診断されたことがある

  3. 呼気中の一酸化窒素(FeNO)が35ppb以上

【小項目】

  1. 通年性アレルギー性鼻炎

  2. 気道の可逆性(吸入薬で呼吸が改善する)

  3. 血液中の好酸球が5%以上または300/µL以上

  4. IgE(アレルギーの指標)の上昇

■ 治療はどうするの?

喘息とCOPD、それぞれで第一選択薬が異なります。

疾患

主な治療薬

喘息

吸入ステロイド(ICS)

COPD

長時間作用型抗コリン薬(LAMA)


ACOでは、両方の要素に対応するためにICS+LAMA+LABA(長時間作用型β刺激薬)の3剤併用治療を行うことが多いです。

■ 予防のカギは「禁煙」

若いうちに喘息の治療をしっかり受けて、早期に禁煙できていれば、ACOという概念自体が必要なかったかもしれません。

たばこが、喘息をCOPDへと進行させる一因なのです。

さくら在宅クリニックからのメッセージ

さくら在宅クリニックでは、逗子・葉山・横須賀・鎌倉・横浜地域の皆さまの呼吸器疾患や在宅医療をサポートしています。

「咳が長引く」「息切れが気になる」など、気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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