在宅でも安心して呼吸管理を― 気管切開・人工呼吸器管理と「持続吸引」のススメ ―
- 賢一 内田
- 8 時間前
- 読了時間: 3分

気管切開をして人工呼吸器を使用している患者さんは、自力で痰を排出することができないため、適宜の気管内吸引が欠かせません。在宅医療の現場で、この「吸引」が大きなハードルになることがあります。
💡吸引は、「呼吸の通り道を掃除する」というイメージです。
特に誤嚥防止術を行っていない方では、唾液などが気管内に流れ込みやすく、1日に20〜30回、時にはそれ以上の吸引が必要となることもあります。この頻度では、ご家族の負担も非常に大きくなってしまいます。
🌟そこで注目されているのが「持続吸引システム」
「アモレSU1」という機器は、気管内の痰を24時間、自動かつ低圧で持続吸引してくれる優れものです。使用には、専用の**「コーケンダブルサクションカニューレ」**が必要です。これは、通常の気管カニューレに吸引チューブと吸引口が一体化された構造で、カフ下部の痰を持続的に排出する仕組みです。


▼どんな痰を吸っているの?
肺に病気がない方の場合、痰の多くは唾液や鼻水などの垂れ込みが原因。持続吸引により、それらが肺に届く前に吸引されるので、肺炎予防にも役立ちます。
🔄 間歇吸引 vs 持続吸引
内容 | 間歇吸引 | 持続吸引 |
吸引頻度 | 20〜30回/日(介助が必要) | ほぼ不要(自動) |
痰の固結化 | 起こりやすい | 起こりにくい |
介護者負担 | 非常に大きい | 大幅に軽減 |
睡眠 | 夜間も吸引が必要で中断されがち | 患者も安心して就寝可能 |
🔧システム運用の注意点
詰まりが起きた場合、吸引力がゼロになってしまうため、対処法を準備しておく必要があります。
カニューレのサイズがこれまで使っていたものと大きく異なるため、導入前に医師や訪問看護師と相談を。
体位変換やタッピングなど、肺の隅にたまった痰を動かすケアは、持続吸引導入後も継続が必要です。
💡ちょっとした工夫でさらに快適に
※以下はあくまで私見ですが、導入後の安定運用の一助になればと考えています。
肺内湿潤環境の整備 → 水分摂取、加湿器、ムコダイン処方など
痰の固結化予防処置(朝夕2回・所要3分程度) 1. 通常吸引(20~30秒) 2. カテーテルからエアフラッシュ(60秒) 3. 5mlシリンジで1.5mlの生理食塩水注入 4. 再度フラッシュ+吸引で終了
このルーチンで、痰のこびりつき(まるでサビのように固まる現象)を効果的に防げます。
📷運用後の安心材料
機器の動作音は深夜でもほとんど気になりません。
導入から約2週間後の胸部レントゲン・血液検査で異常所見は見られませんでした。
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