降圧剤、朝と夜どちらがいい?〜Wake up strokeと内服タイミングの考察〜
- 賢一 内田
- 18 時間前
- 読了時間: 2分

「Wake up stroke(起床時脳卒中)」という言葉をご存じでしょうか。「朝になってもおじいさんが起きてこないので見に行ったら、動けなくなっていた」という状況です。
心臓や脳の血管性の病気は、寝ている間に発症することが少なくありません。それにもかかわらず、降圧剤は「朝に内服する」ことが習慣的に処方されています。これは「起きている時間帯の方が血圧が高くなる」という考えに基づいているものの、実は確たる科学的根拠に基づいたものではないのです。
では、降圧剤を就寝前に内服したらどうなるのでしょうか?
これに関する興味深い研究があります。Bedtime hypertension treatment improves cardiovascular risk reduction: the Hygia Chronotherapy Trial という論文によると、
心血管死:44%低下
心筋梗塞:66%低下
冠動脈血行再建術:60%低下
心不全:58%低下
脳卒中:51%低下
このように、降圧剤を就寝時に内服した群は、朝内服群に比べてリスクが大きく低下していました。夜間の血圧コントロールが、心血管疾患の予防に重要である可能性が示唆されています。
もちろん、すべての患者さんに一律に適用できるわけではなく、慎重な検討が必要ですが、「降圧剤を飲むタイミング」を見直すことも、これからの在宅医療・高齢者医療において大切な視点かもしれません。
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