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骨粗鬆症の治療薬 フォルテオとプラリアどちらを先に使う? どちらが有効?

今回は骨粗鬆症治療薬を使用する順番についての話題です。

骨粗鬆症の治療薬は様々ありますが、

結論としてプラリアの方がフォルテオ方が有効という判断をしています(私見です)

以下にその理由を述べていきます。

骨粗鬆症の治療薬も数が増えてきましたが、一部の薬剤では使用期間が1年や2年など限られているものがあり、使用期間が終了すれば薬剤の変更をする必要が出てきます。

その際に使用する順番に注意が必要な薬剤がごく一部あり、今回はその話題をご紹介します。DATA-switchingという試験です。

 引用元:Lancet 2015; 386: 1147

テリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)という薬は骨を作る働きを強くするタイプの骨粗鬆症治療薬ですが、使用期間は2年間のみに限られています。

一方で、デノスマブ(商品名:プラリア)という薬は骨の破壊を防ぐタイプの骨粗鬆症治療薬です。

この2つの薬は使用する順番を間違えると効果が落ちてしまいますので注意が必要です。

対象患者さん

・45歳以上の閉経後女性・骨折の高リスクがある(骨密度や骨折既往などで定義:詳細は省略)

薬剤投与方法

・テリパラチド→デノスマブ群:1〜2年目はテリパラチドを、3〜4年目はデノスマブを投与・デノスマブ→テリパラチド群:1〜2年目はデノスマブを、3〜4年目はテリパラチドを投与

結果

各群27人ずつが割り当てられ、4年間追跡し、骨密度などの結果を評価しました。

まず腰椎の骨密度の結果を見てみます。本当は図を見るとわかりやすいのですが、この論文はフリーで入手できるものではないので著作権などの問題で図が引用できません。

テリパラチド→デノスマブ群では、薬剤をスイッチした3年目以降も骨密度は上昇し続け、4年間の追跡が終了した時点で、当初と比べると骨密度は18.3%上昇していました。

一方で、デノスマブ→テリパラチド群を見てみると、4年後の最終的な骨密度は14.0%上昇しており、テリパラチド→デノスマブ群と有意差はないものの、3年目の薬剤変更から半年間は一時的に骨密度の低下が見られます。

次に大腿骨(近位部)の骨密度を見てみます。

テリパラチド→デノスマブ群では、薬剤をスイッチした3年目以降も骨密度は上昇し続け、4年後の骨密度は当初と比べて8.3%上昇しました。

一方で、デノスマブ→テリパラチド群では、薬剤変更した3年目は骨密度が減少してしまいます(4年目は再度上昇し始めます)。4年後の骨密度は当初からの4.9%上昇にとどまり、テリパラチド→デノスマブ群と比べて有意に少ない結果になりました。

テリパラチドを先に使うのか、デノスマブを先に使うのかという問題に照準を当てた試験です。

腰椎についてはいずれも大きな差はありませんが、大腿骨についてみてみると、テリパラチドを先に使うべき、という結果です。

この原因について簡単にまとめてみます。骨の維持には、骨形成(骨を作る働き)と骨破壊(骨を破壊する働き)の2つの力が関わっています。骨を作っては壊しというのを繰り返しながら(これを骨代謝といいます)骨の質と量を保っています。テリパラチドがその効果を発揮するには、この2つの働きがバランス良く噛み合っている必要があるようです。デノスマブは骨破壊を抑える薬ですので、これがテリパラチドを使う前に使用されていると、骨代謝のバランスが崩れてしまっており、テリパラチドの効果がうまく発揮されない、という原因が想定されています。

ではなぜ、腰椎では大丈夫なのか?骨は部位によって成分のバランスが異なります。そのため、テリパラチドは腰椎に対しての効果は強いですが、それに対して大腿骨に対する効果は劣ってしまいます。そういったことが関わっているのかもしれません。

テリパラチドとデノスマブ、いずれも優れた骨粗鬆症治療薬には違いありませんが、この2つを使用する順番には注意が必要です。

#逗子、葉山、横須賀市、鎌倉市、横浜市の在宅医療

 

 

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