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高齢者の発熱、どのタイミングで連絡すればいい?

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

〜SIRSの視点から考える在宅での対応〜

脳卒中後や意識がはっきりしない高齢の方をケアしていると、発熱はつきものの症状です。

人は寝ている間でも無意識に嚥下しています。唾液はもちろん、食事の際に逆流してきた内容物や胃液も無意識下で処理されています。しかし、嚥下機能が低下している患者さんにとっては、これが誤嚥性肺炎などの原因になってしまうこともあります。

こうした患者さんが発熱するたびに検査や抗生剤の使用を繰り返すと、身体への負担が大きく、耐性菌の出現などのリスクもあります。そのため、どこまで様子を見て、どのタイミングで医療機関に連絡すべきか——これは、ご家族や施設のスタッフにとってとても大きな悩みのひとつです。

発熱時の「連絡の目安」は?──SIRSに注目!

まず、ひとつの目安として「体温が38℃以上になったら連絡を」とお伝えしています。これは安心感をもって判断しやすい基準です。

しかし、もう一歩踏み込んで評価したい場合におすすめなのが、**SIRS(全身性炎症症候群)**という考え方です。

🔍 SIRSの診断基準(以下のうち2項目以上)

  1. 体温 >38℃ または <36℃

  2. 心拍数 >90/分

  3. 呼吸数 >20/分 または PaCO₂<32 torr

  4. 白血球数 >12,000または<4,000 /mm³ または未熟顆粒球>10%

このうち、体温・脈拍・呼吸数の3つは在宅や施設でも十分にチェック可能です。

実際の連絡基準としては…

体温が38℃以上で、かつ脈拍が90回/分以上、または呼吸数が20回/分以上であれば連絡してください」

とお伝えするのが、現場的にはとても実用的で的確なアドバイスになります。

SIRSは、かつて敗血症の診断に用いられていた指標ですが、現在でも発熱時の重症度をスクリーニングする際には非常に有用です。

スマートウォッチも在宅医療の強い味方に?

ちなみに最近では、Apple Watchなどのスマートウォッチでも、酸素飽和度や心電図を測定することが可能になっています。私自身も、この便利さを確かめるために、人生で初めて腕時計をつけ始めました。100mごとのスイムのスプリットタイムまで記録してくれるのには驚きです。

YouTubeでもわかりやすく解説中!

こうした在宅医療の現場で本当に役立つ知識は、YouTubeチャンネルでもやさしく解説しています。

現場の知見をもとに、すぐに使える実践的な情報をわかりやすくお届けしています。嚥下障害や栄養管理、発熱対応にお悩みの方や介護者の方と、正しい情報を共有して安心できるケアにつなげていけたら嬉しいです。

さくら在宅クリニックは地域の安心のために

さくら在宅クリニックは、逗子・葉山・横須賀・鎌倉の皆さんの健康と安心を支えるため、これからも医療とケアの現場をつなぐ取り組みを続けてまいります。

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